「楽しいから続けられるんです」
この言葉、これまでいろんな人が我が家に見学に来るたび言っていたように思う。
「すごく大変な暮らしですよね~!これが毎日なんてすごい!!」
「いいなと思うけど、なかなかできないですよね~」
と言われるたびに。
この言葉にもちろん嘘はない。
どんなに大変なことでも、「楽しむ気持ち」を忘れずに続けていれば、大変さよりも達成した喜びが勝る。
薪で料理するのは、現代の便利な暮らしと比べるととても大変な作業だけど、出来上がったご飯の美味しさや、段取りよく火を扱う面白さ、火のエネルギーが身体に染み込む心地よさは、大変さを勝る。
その感動があるから、薪料理が楽しいなと思える。
でも、私の一番の原動力は、「楽しさ」ではない。
「楽しさ」だけだったら、やめていたかもしれない。
だって、「夕飯簡単にすませたいからラーメンにしよ~」と思っても、お湯を沸かすためには、手斧で薪を割って、火を熾さなければいけないのだから。
もちろん、自分の体にムチ打ってストイックにこの暮らしをしているわけではないから、時には登山用のコンロも使うし、ホットプレートも使う。
そんな日は、文明の利器のありがたさがとても身にしみる。
それと同時に、これらを使うことへの罪悪感も生まれる。
それは、自分たちが決めた暮らしに反した、とかいうことではなく、学生時代に私が出会ったマダガスカル(アフリカ)の村の人たちの顔が浮かぶから。
そう、私の原動力は、薪暮らしを地で行く彼らの暮らしにある。