自由な楽校7時間目は、籾殻(もみがら)くん炭づくり。玄米を覆うカプセルであるモミガラを蒸し焼きにして形を残したまま炭化させる作業です。籾殻の炭には、土壌を改善してくれる様々な効果があると、日本では古くから畑に利用されています。
・籾殻くん炭は水をよく吸水するので土に混ぜるだけで保水力があがる。比重に対して600倍以上も吸水するようです。なので、夏季に起こりやすい水切れを防いでくれる。
・籾殻は粒が大きく形が崩れず、サラサラでくっつきにくいので、空洞ができやすく、通気性と排水性がよくなり、多湿による植物の根腐れを防いでくれる。
・通気性と排水性などを改善すると微生物が住みやすい環境に変化する。
・籾殻くん炭の無数の微細な穴が、微生物の住みかになる。彼らは、土壌の有機物を食べ、植物が取り込める栄養素に分解してくれる。
・くん炭をまくと、抗菌物質を生産するバチルス属細菌が増え、土壌感染性の病害の発生を抑えてくれる。
・色が黒いので太陽のからの熱を吸収し地温を上げ、土壌菌の活性を助けてくれる。
・雨の多い日本の露地は何もしないと土壌のphは酸性になりがち。酸性の土壌はあまり植物良くないので、アルカリ性の炭は中和材となる。
あげたらキリがないぐらい でてくる籾殻くん炭の効用。これらの効用に共通していることは、微生物がいかに快適に土地の中で暮らせるかということです。
水でびちゃびちゃだと住みにくいだろうし、砂漠のようになっても同じこと。密閉された空間より、風通しがいいに決まっている。酸性だと植物自体ではなく微生物が生きにくいのかもしれない(時間ができたら調べてみたい)。
畑をはじめて数年間は、植物にとってどんな環境がいいのか、どんな栄養がいるのかということばかり考えていたのだけど、野菜を育てる上で最も大切なことは微生物の環境を整えてあげることだという思いに至っています。
僕らの体内にも10兆という無数の微生物が生きているそうです。「私は」「俺は」と人は自分の体を自分のものと主張するけれど、実は微生物の乗り物であって、脇役なのかもしれません。
主役は微生物。
そんな許容しにくい価値観でコロナウイルスを観たのなら、人がこれからどう生きていけばいいのか、ユニークで謙虚なアイデアが生まれてきます。
森を切り、大地を化学物質で汚し、海にあらゆるゴミを捨て続けないと、今の贅の限りを尽くした生活を成り立たせることができない現代の経済構造。世界中の人間が日本人と同じ生活水準になるためには地球が2.9個必要みたいです。
そんな経済活動は気候を変えるほどの巨大な力をもってしまって、その牙は人間自身の生存環境を脅かしていることがわかっています。自分で自分の首を締めるという何とも滑稽な世界をつくり上げてしまった感があります。
しかし、僕らはわかっちゃいるけどやめられない。
自然環境破壊型の経済活動を止めることができないジレンマは、世界中の国の長をも突き動かし、SDGsなんて切羽詰まったゴールを作らせるにまでに至っています。2030年までには何とか。。。この10年で人間社会が変わらなければ。。。
コロナウイルスはこのジレンマを一瞬でぶち壊し、あっという間に経済活動を止めてしまった。
中国の大気汚染は衛星の映像から消えたそうです。それが理由かわからないですが、屋久島の山頂からみる世界がここ最近とてもクリアなことにびっくりしています。
それが、悲劇になるのか、喜劇となるのか。凡人の僕には到底わかりません。
ただ一個人としての決意は、主役の大転換を心に。
人間だけが喜ぶ都合の良い都づくりではなく、微生物たちをはじめ多くの生きものと同じ土俵(自然)でしっかり対話しながら、真の楽園を想像し、創造していこうと。子どもたちと友に野菜やお米をしっかり育てながら。
何でもかんでもお金で手に入れる消費カルチャーから
身の丈に合った資源を自らの手でクリエイトするカルチャーへ
この星で主役は一体誰なのでしょうか。
主役を野菜から、微生物に
主役を自分から、体内の微生物に
主役を自分から、子どもたちに
主役を経済から、自然に
主役の大転換から
次のステージが開けるように思います。